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2018年本屋大賞受賞作「かがみの孤城」読後レビュー! 【ネタバレあり】

 

 

はじめに

 

2018年本屋大賞受賞作、辻村深月氏の「かがみの孤城」、とんでもなく面白いと評判なので、読んでみました。

今日はそのレビューを書いていきたいと思います。

 

ネタバレがありますので、これから読もうと思っている方はご注意を!

 

あらすじ

 

主人公の安西こころは、雪科第五中学校に通う中学一年生。

だけれど、同じクラスの女子から嫌がらせを受けて、怖くて学校に行けなくなってしまった。

お母さんが連れて行った近くのフリースクールには、信頼できそうな喜多嶋先生がいたけれど、やはりスクールにもいけなくなってしまい、部屋で閉じこもる日々だった。

 

そんなある日、突然、こころの部屋にあった全身鏡が虹色に光りだす。

驚いたこころは、そのまま鏡の中に引きずり込まれてしまった。

鏡の中で待っていたのは、狼の仮面をかぶった、小さな女の子。フリルのドレスにオオカミの仮面という、奇妙な姿だ。

そして、物語に出てくるようなエメラルド・グリーンの綺麗なお城があった。

  

このお城では、こころは一人ではなかった。他にも、中学生の子供たちがいたのである。

アキ、マサムネ、フウカ、ウレシノ、リオン、スバル・・・。

こころを入れて、女子3人、男子4人、計7人である。

オオカミ仮面の女の子、通称「オオカミ様」は、何が起きたのかわからずに唖然とする一同に言い渡す。

5月現在から、来年の3月末まで、このお城は存在していて、それぞれの部屋の鏡から入ることができる。

そして、この城のどこかに、願いを何でも叶えることのできる魔法の鍵が一本ある。

ただ、願いを叶えることができるのは、一人だけ。そして、願いを叶えた瞬間に、このお城は消えてしまう。このお城での記憶も消えてしまう。

もしも、魔法の鍵を誰かが使わなかったら、期限ギリギリの3月30日まで、お城は存在している。

それ以降お城は消えてしまうが、ここで過ごした記憶は、そのまま残り続ける、と。

 

それから、ひとつだけ注意がある。

午後5時が過ぎる前に、各自、お城のホールにある鏡を通って、自分の世界に帰らないといけない。

そうしないと巨大なオオカミがやってきて、皆を食べてしまう。

誰か一人だけが5時を過ぎたとしても、連帯責任で、全員が食べられてしまう・・・と。

 

最初はぎこちなかった7人だったが、少しずつ打ち解けていき、いろいろな話をするようになる。

そして7人は、お互いの共通点を発見する。

みんなが、何らかの事情で学校に行けていない。そして、驚いたことに、全員が雪科第五中学というこころと同じ中学校の生徒だった。

 

7人の中学生はそれぞれ事情を抱えていて、それぞれの願いを持っている。だから鍵を探したい。

けれど、お城の中はとても居心地が良かった。学校でもなく、家でもなく、親や先生、同級生の目のとどかないところで、自由にくつろげる。

男子たちはさっそく連日テレビゲームで遊ぶようになる。女子も、お菓子やお茶を持ち寄って喋るようになる。

 

そして、全員で話しあって、あることを決めた。

この居心地のいい場所を取っておくために、3月30日までは、たとえ鍵を見つけても使わないで置いておこう。

鏡の外の現実世界でつらいことがあっても、鏡の中に来れば楽しい仲間たちと楽しい時間を過ごすことができる。

皆がこの鏡の中で過ごす時間を大切にするようになった。

皆が「鍵を探さなくちゃ」という思いを胸に抱えながらも、楽しい時間はどんどん過ぎていく。

 

年が明けた1月のある日、マサムネが登校する決心をする。そして、皆も同じ日に学校に来てくれないか、と頼んだ。皆はもちろんOKした。

こころはその日に登校したが、お城の仲間は誰も来ていなかった。しかも、保健室の先生に聞いても、

「そんな子達はこの学校に存在しない」と言われてしまう。

彼らは自分の作り出した妄想なのか?

いや、そんなはずはない。

ここではいったい何が起きているのか?

誰かが鍵を見つけることはできるのか?

このお城、そして7人の仲間たちはどうなってしまうのか?

 

 感想など

 

最高に面白いです!

 

この作品、あらすじを読んでいただければおわかりのように、ジャンルで言えば「ファンタジー」ということになるでしょう。

ただ、中学生の不登校問題が主幹としてあるので、まったくの夢物語ではない、非常に現実感を伴ったファンタジーと言えます。

しかも、オオカミ少女の正体は?お城って何?鍵のありかは?といったミステリーの要素もふんだんに取り込まれています。

 

この物語の見所をちょっと整理してみましょう。

 

1. 不登校の中学生たちの心情がリアル

 

主人公の安西こころちゃんを始めとして、登場人物の中学生の皆が問題を抱えていて、不登校になっています。その事情が、実にリアルに描かれています。

それはイジメだったり、親の過剰期待だったり、現実にあり得ることばかり。

その問題と戦いながら、少しずつ強く成長していく子供たち。そのプロセスが丁寧に丹念に描かれており、読む方も感情移入が止まりません。

特に、主人公の安西こころちゃん。中学校にも行けないどころか、家の外にも出れないような子供だったのが、お城の中で皆と仲良くなって心を開いていき、物語終盤では「ある事件」をきっかけに大きく羽ばたけるようになります。

物語を読みながら、心の中で「がんばれ!がんばれ!」とついつい応援してしまいました。

 

2. 中盤以降にミステリーの要素がグッと強くなる

 

物語の中盤、マサムネと約束して、皆で学校に行こう!と決めたのに、学校に行ってみたら誰もいなかった。それどころか、保健室の先生には「そんな子たちはいない」と言われてしまう。

このあたりから、ミステリーの要素がグッと強くなっていきます。

なんで誰も学校に来てないの?

実は、マサムネも他の子たちも、誰も仲間には会えませんでした。

この事情は、ミステリーが好きな方ならピンと来るはず。マサムネは考えた末に「俺たちはパラレル・ワールドにいるんだ!」と結論付けますが・・・。

ちょっと違いましたね。

決して目新しい設定ではないのですが、この作品のポイントはミステリーのネタがどうこうではなく、その不可解な状況に直面した子供たちが、どういう風に消化してどういう対策を考えていくか、が重要なので、そういう点では実に面白く読み進めていくことができます。

 

3. 一気に読んでしまう終盤の「大事件」

 

とても充実したお城での生活のリミットが近づいてきたところで「大事件」が起きます。

このあたりは読み応えがありますね!

止まることができずに一気に読み進んでしまいました。

皆がオオカミに食われてしまった時の、こころちゃんの素晴らしい思考力、洞察力と勇敢な行動力!

こころちゃん、成長したなー・・・と感慨に浸ってしまいます。

 

4. オオカミ少女の正体は?

 

「大事件」が無事解決して、ああ、エンディングだなーと思っていたら、最後にとんでもない「どんでん返し」が待っていました。

ラストにこれを持ってきた作者の構成力、文章力、さすがです!

さすがにここまでは予測できなかったですね。

激しく感動してしまいます。涙なしでは読めません!

 

5. 最後にホッコリ

 

この「どんでん返し」で終わりかと思ったら、まだ残っていました。

作者さん、どこまでサービス精神旺盛なんでしょう。

最後は心に温かいものが静かに流れ込んできて、ホッコリと読み終わることができます。

 

まとめ

 

結構長めの作品なのですが、中盤あたりからは一気に読み進めてしまいました。

近年にない、面白い作品であることは間違いなし!

不登校問題とか、ファンタジーとか、ミステリーとか、とにかくいろいろな要素が詰め込まれた最上質のエンターテイメント超大作と言っても言い過ぎではないですね。

 

ぜひ、ご一読することをオススメします!