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新作洋画レビュー「ボヘミアン・ラプソディ」【ネタバレあり】

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はじめに


昨年末に巷で大評判の「ボヘミアン・ラプソディ」を劇場で観てきました。
イギリスのロック・バンド「Queen(クィーン)」の栄光への軌跡を描いたこの作品ですが、1/12付で興行収入が94億円を突破、これは邦画ランキング1位である「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」(92.3億円)、洋画ランキング1位の「ジュラシック・ワールド 炎の王国」(81億円)を抜き去って2018年公開映画の堂々トップとなりました。

今日はこの作品をご紹介していきましょう。

 

※ここからはネタバレを含みますので、これから観ようという方はご注意ください。

 

あらすじ

 

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1970年代初頭のロンドン、インド系移民出身の青年ファルーク・バルサラ(ラミ・マレック)は音楽に傾倒し、自分のルーツを嫌って「フレディ」と名乗っていた。
ある日フレディは、ヴォーカリストが脱退したばかりのバンド「スマイル」のメンバーでギタリストのブライアン・メイ(グウィリム・リー)、ドラマーのロジャー・テイラー(ベン・ハーディ)に声をかけ、見事な歌声を披露して新しいヴォーカル兼ソングライターとしてバンドに加入、同じく新メンバーとなったベーシストのジョン・ディーコン(ジョゼフ・マゼロ)とともに新生バンドをスタートさせる。

「クイーン」と改名したバンドはアルバムを自主制作するのだが、それがEMIのジョン・リードの目に留まり、ジョンは彼らをスカウトして念願の世界デビューを果たすこととなる。

フレディはさらに名字を「マーキュリー」に改名、世界各国でのツアーも決まり、いよいよ「クイーン」の躍進が始まる。


「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」といった名曲の誕生秘話を絡めて、フレディが「クイーン」のメンバーとして勝ち取った栄光、そしてその栄光の裏でのLGBTやドラッグによる葛藤と挫折、バンドのメンバーとの確執と復縁を描きながら、伝説のステージと言われた1985年のウェンブリー・スタジアム(ライブエイド)での大興奮のライブ・シーンで幕を閉じる。

 

そもそも「クイーン」とはどんなバンドなのか

 

 

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クイーンは1973年にデビューしてから1991年にフレディ・マーキュリーが死去するまで、1970~1980年代に世界中のロック・バンドのトップに君臨し続けた偉大なバンドと言えましょう。なので、リアルタイムでクイーンの音楽に触れることができたのは、40代以降の世代と言ってもよいかと思います。

単純に「ロック」の一言で括ることは最早不可能なくらいの幅広い音楽性を持ち、クラシックやポップス、ジャズ、フュージョン、果ては民族音楽などさえも包括した、バラエティに富んだ様々な名曲を世に送り出しています。


特に日本での人気は高く、日本の代表的な洋楽ロック雑誌「ミュージック・ライフ」における人気投票を見ても、その人気の凄さがうかがえます。

 

 年   1位   2位   3位 
1975   クイーン   レッド・ツェッペリン   ポール・マッカートニー&ウィングス 
1976   クイーン   レッド・ツェッペリン   ブラックモアズ・レインボー 
1977   クイーン   KISS   レッド・ツェッペリン 
1978   クイーン   ジャパン   チープ・トリック 
1979   チープ・トリック   クイーン   レッド・ツェッペリン 
1980   クイーン   KISS   レインボー 
1981   クイーン   マイケル・シェンカー・グループ   レインボー 
1982   クイーン   レインボー   マイケル・シェンカー・グループ 
1983   デュラン・デュラン   カルチャー・クラブ   U2 

 

クイーンの楽曲の特徴を(誤解を恐れずに)シンプルに言ってしまうと、「明快なメロディ」「ドラマティックな展開」「多重録音による分厚いサウンド」となりますが、これがまさに日本人の嗜好にピッタリとハマっていたんですね。

 

本作品の見どころ

 

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クイーンのサウンドをリアルタイムで感じてきたのは、昔は「ロック小僧」「洋楽好き少年」、今では40~50代という世代だと思います。この世代には、魂をド直球でぶち抜くような、ストライク・ゾーンど真ん中の映画であることは間違いありません。

しかしながら、今回のヒットの原因としては、20~30代の「クイーンを知らない世代」が劇場へと足を運ぶことになったということがあると言われています。

一体どんなところが素晴らしかったのでしょうか。

 

1. メンバー本人に酷似させたキャスティング

 

まずはキャスティングの絶妙さを褒めなければいけませんね。よくもこれだけ本人に似た俳優を集めたものだ、と思います。
本人に似ているということはかなり重要な要素で、特に楽器の演奏シーンでは最大の「リアリティ」を産む効果がありますね。
もちろん、ただ似ているというだけでなく、キャスティングされた俳優の皆さんは、「リアリティ」を追求するために楽器の演奏をそれこそ血が流れるくらいに練習をしたということです。
クチパクや弾いてる「マネ」だけでは、絶対にバレて飽きられてしまうから、という強い思いだったそうですね。
この努力があってこその、本作品のヒットだと思います。

それにしても、主演のラミ・マレックのフレディへの「なりきり度」はハンパないですね。それは演技という枠を超えて、ラミ自身があたかもそのような人生を送ってきたのではないかと錯覚させられてしまうような、真実の姿を見せられているような印象を受けました。

 

2.明快でわかりやすいストーリー展開

 

本作品は、クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーが、様々な葛藤や挫折を乗り越えて栄光を勝ち取るまでを丹念にかつわかりやすく描いた作品です。
ただ、ヒーローの栄光の裏側にある挫折というのは、ストーリーとしてはよくあるもので、目新しい試みではありません。
しかし、本作品に限っては、敢えてそれを明快にわかりやすく描くことによって、それに焦点を当て過ぎず(聴衆の関心を引き寄せ過ぎず)、逆に後で述べる大迫力のライブ・シーンにインパクトを持たせることに成功していると思います。


物語の序盤、自分の出自や容姿にコンプレックスを抱えながらも、持ち前の歌唱力とコミュニケーション力でクイーンに加入し、大胆な発想と強い意志を持ってバンドを頂点に押し上げていく過程は、爽快感に溢れていて、観る者の関心をしっかりと手繰り寄せることになります。
しかし物語の中盤では、ヒーローたる我儘で傲慢な振る舞いが次第に大きな問題になり始めて、プライベートな面では徐々に明らかに、抑えきれなくなっていくゲイとしての指向やプレッシャーから逃れるためのアルコールやドラッグへの依存度の深まりが、大きな陰となってフレディを貶めていきます。このあたりのハラハラ感、ドキドキ感にまた聴衆は引き付けられてしまいます。
そして終盤、それまでの葛藤や挫折と決別して、バンドとして再び大舞台に立つまでの新たなサクセスへのプロセスが、大いなる希望と絶頂感を聴衆に植え付けて、最高の御膳立てのもとでクライマックスを迎えることになります。

この単純明快でわかりやすいストーリー展開のおかげで、聴衆は何のわだかまりも障害もなく感情移入していけるのではないでしょうか。

 

3. 名曲の誕生秘話

 

クイーンの代表曲として「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」などは誰もが一度は耳にしたことがある名曲と言えるでしょう。
この映画では、そんな名曲の「誕生秘話」とも言えるような、曲の発想からそれを仕上げていくレコーディング風景、そしてライブでの演奏シーンが描かれています。
レコード会社のお偉いさんの反対を押し切って信念を貫き通すメンバーの姿や、メンバー間の不仲や軋轢を乗り越えて曲を完成させていく過程は非常に興味深いものがありますし、感動的ですらあります。

 

4. 圧倒的迫力で再現した「バンド・エイド」

 

この作品のクライマックスは、物語終盤の20分間に及ぶウェンブリー・スタジアムで繰り広げられた「ライブ・エイド」の伝説のステージの再現に間違いはないと思います。
演奏がまだ始まる前の、スタジアムに詰めかけた何万人もの聴衆の空撮シーンだけでを見ても、その凄さ、迫力が痛いほどに伝わってきます。
実際のウェンブリー・スタジアムはもう存在しないため、実物大のセットを組んでエキストラを入れて(加えてCG加工もしてあると監督は語っていますが)撮影されたのでしょうけれども、そんなフェイクも吹き飛んでしまうくらいに、自身がスタジアムの聴衆の一人になったような感覚で没入することができました。

そして圧巻のライブ・シーンに、もう多くの解説は不要でしょう。それが映画で、俳優がクイーンを演じていることなどすべて頭からは拭き飛んで、リアルタイムにクイーンのステージを見ているかのような格別の臨場感、体内のあらゆる液体が沸騰してしまうかのような高揚感を味わうことができます。

特に、ラストの「ウィー・アー・ザ・チャンピオン」は別格の鳥肌モノで、感動の涙を流したとしても、誰も非難する者はいないでしょう。

残念なのは、実際のステージでは6曲を演奏しているのですが、映画では「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「愛という名の欲望」の2曲がカットされていることですね。この2曲はそれまでの劇中で演奏しているから、という理由のようですが、できることなら、ライブ・エイドの完璧な再現を体感したかったです。


ちなみに、スタジアムのセットは、ステージの上からバック・ステージまで、アンプやペダルの位置から灰皿、ペプシコーラのカップの位置まで完璧に再現されているということです。
制作者、演者の誰もが皆「リアリティ」を追求する姿勢があるからこそ、多くの観客が引き付けられるのですね。

 

「史実と違う」という意見もあるようですが

 

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多くの評論家の方は、映画のストーリーが史実と異なるという部分を批判しているようです。

例えば、
・映画では、ライブ・エイドのオファーが来た時はメンバー間の不仲のために互いに口もきかない状態になっていて長い間4人でも演奏を行っておらず、感覚を取り戻すために猛練習をおこなったように描かれているが、実はアルバム「ザ・ワークス」をリリースした直後で4人でワールド・ツアーも行っており、それはライブ・エイドの8週間前だった。

・映画ではライブ・エイドのリハーサル中にフレディがHIVに感染していることをメンバーに告白し、それによってさらに4人の結束が強まったように描かれているが、実はフレディがHIVに感染していることを知ったのは、ライブ・エイドの後だった。

など、いろいろあります。

ただ私が思うには、この映画は「娯楽作品」なのであり、「ドキュメンタリー」ではありません。
劇場に足を運んで熱狂に酔いしれた観客は、クイーンの100%真実を知りたい訳ではなく、クイーンとともに熱い時間を過ごしたいだけなのですから、史実と違った部分があったとしても、それは些細な事だと言っても差し支えないでしょう。
決して作品の評価を貶めるものではないと断言できます。

 

最後に

 

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いかがだったでしょうか。
熱い思いばかり先走ってしまって、つたない取り留めのない文章になってしまいましたが、どうかご容赦ください。
多くの方がこの映画を見て、熱い思いを共有してもらえることを願っております。