はじめに
近年、健康志向の風潮で見直されているのが「ウォーキング」です。
特に大掛かりな道具もいらず、思い立ったら即始められる手軽さで、多くの愛好者を生んでいます。
しかし、ただ闇雲に歩けばいいという訳ではありません。
その理論やメカニズムをよく理解して、効果的なウォーキングを実践し、健康増進に努めましょう。
そもそも、なぜウォーキングは体にいいのか?
人の筋肉は、運動をしないでいると20歳以降は1年に約1%ずつ衰えていくと言われています。
つまり、30歳では20歳の時の筋肉量の約90%、50歳では約70%になってしまうのです。
これを防ぐ一番簡単な方法が、歩くことなんです。
歩くことで、筋肉量の減少率を抑えることができるだけでなく、心肺機能を向上させたり、免疫力を高めることが可能です。また、血液中の糖や脂肪をエネルギーとして使うことで、体脂肪や内臓脂肪を減らすことにもつながります。
また、歩くことで大腸がんを予防する効果があることも明らかにされています。
「運動不足」のグループの大腸がんのリスクは、「平均運動量」のグループの約2倍、「積極的に運動」するグループの約4倍になるということです。
歩くことで便秘状態が改善され、老廃物が腸内にとどまらなくなるため、と考えられています。
どんな歩き方がいいのか?
やはり、有酸素運動特有の効果が得られる「早歩き」がいいですね。
ゆっくりと歩いているだけでは、足を引き上げるのに必要な太ももの筋肉や体幹部が使われていないからです。
時速で言うと4.8km。これは、不動産物件の表示でよく見かける「駅まで10分」という時の歩行速度、分速80mの時速換算です。
これより早く歩くことが、ひとつの目安と言えるでしょう。
早歩きにはどんな効果があるのか?
健康寿命が長くなる
「サクセスフルエイジング」という言葉があります。
がんや糖尿病、心臓疾患や脳疾患などの大きな病気にかからずに健康状態でいられる期間のことで、日本語に訳せば「健康寿命」となります。
2010年の海外での研究結果ですが、歩行速度が時速3.2km未満のゆっくり歩きの人を「1」とした場合、時速3.2~4.8kmの普通のスピードで歩く人は「1.9」倍、時速4.8km以上の早歩きで歩くことができる人については「2.68」倍、サクセスフルエイジング達成率が高かった、ということが発表されました。
早く歩くことができる人は、健康寿命が長い、と言えるのです。
ダイエット効果がある
早歩きは代表的な有酸素運動です。有酸素運動では、体内に酸素を取り込んで体脂肪を燃焼させることができます。
この時、空腹時に行うとより一層効果が上がります。有酸素運動は脂質と同時に糖分も消費するのですが、空腹時は血液中の糖分量が下がります。このような場合には、体の予備エネルギーである脂肪を使って足りないエネルギーを補おうとしますので、より多くの脂肪を燃焼させることが可能です。
善玉コレステロールが増える
1日30分以上、1週間で合計2時間以上の早歩きを行うと、善玉コレステロールが増える、という調査結果もあります。
どんな歩き方がいいのか?
チョコチョコと狭い歩幅で歩いているだけではあまり運動効果は上がりません。
より多くの筋肉を使う大股で歩くように心掛けましょう。
早歩きをする時の理想的な歩幅は、「身長✖0.45」と言われています。
身長別に計算してみると、
・身長150cm ⇒ 約67cm
・身長155cm ⇒ 約70cm
・身長160cm ⇒ 約72cm
・身長170cm ⇒ 約76cm
ということになります。
普段の歩幅にあと10~15cm広げるつもりの、「やや大股」で歩くようにするのがよいでしょう。
どれくらいの時間、歩けばいいのか?
有酸素運動で効果が表れるのは、10分以上運動を継続してから、と言われています。
ご自分の体調、体力との相談にもなりますが、30~90分を目安に行うのがよいと思われます。
途中で休んでもいいのか?
30分連続して歩いても、10分を3回に分けて歩いても、体脂肪の減少率については変わらない、という結果が出ています。
ご自分の体調、体力に合わせて、連続して行うのか、分けて行うのかを決めるのがよいでしょう。
まとめ
ここまで書いてきましたように、「ウォーキング」は早歩き、大股で行うことで、ダイエット効果もあり、健康寿命も引き延ばす効果があります。
正しい効果が得られるウォーキングを、ぜひ皆さんも始めてみませんか。