はじめに
若い頃に出張で行った全国各地の思い出の料理を書いてみよう!と思って始めた「出張グルメ」シリーズの第2回です。
前回は長崎の「トルコライス」についてレポートしました。
今回は、福井で食した「ソースかつ丼」を取り上げてみたいと思います。
卵とじ派?ソース派?
私は生まれも育ちも神奈川県で、かつ丼と言えば「卵とじ」で育った人間でしたので、福井に行って初めてかつ丼を注文した時のビジュアルには非常に驚きました。
メニューを良く見ると、ノーマルな「かつ丼」のほかに「卵とじかつ丼」というものがあり、福井では明らかにソースかつ丼が主流なんですね。
調べてみると、ソースかつ丼が主流の地域はほかにもあるようです。
下の地図をご覧ください。
「ソースかつ丼」分布図
ソースかつ丼が主流の都道府県に色を着けてみました。
やはり、卵とじが全国的にはメジャーなようですね。
しかしながら、一口にソースかつ丼と言っても、ご飯の上にカツを乗せて上からソースをかけたものや、ソースにカツを潜らせてからご飯の上に乗せたものなど、いろいろなパターンが存在するようです。
また、例えば愛知県ではかつ丼と言えば「味噌カツ丼」という説もありますし、新潟県ではソースかつ丼に非常に似ていますが、醤油ダレに漬け込んだカツを乗せたカツ丼がメジャーなようです。
カツ丼は、地域の特色に合わせて独自の発展を遂げた、非常に興味深い料理と言えるでしょうね。
ちなみにどちらが美味しいかと言われると、これは難しい問題ですね。
食べ慣れている卵とじも美味しいですし、甘辛いソースを身にまとったカツもまた捨て難い!
名店「ヨーロッパ軒」
福井のソースかつ丼の話をした時に、「ヨーロッパ軒」のことを語らない訳にはいきません。
「ヨーロッパ軒」は、元祖ソースかつ丼の店として有名な福井市内にある洋食屋さんです。
料理研究家の高畠増太郎が、1907年から6年間、ドイツのベルリンで料理を学び、ドイツ料理のシュニッツェル(薄く切った牛や豚の肉のカツレツ)をウスターソースで味付けし、丼飯の上に乗せた料理を考案し、1913年に創業したヨーロッパ軒で提供を開始したのが始まりと言われています。
もちろん、私もこの店でソースかつ丼をいただきました。
ここのソースかつ丼は、カツをソースに潜らせてから丼に乗せるタイプで、やや薄めで小ぶりのカツが数枚、丼の上に乗っています。
(枚数によって値段が変わります。)
ソースを潜らせているにもかかわらず、揚げた衣のシャリシャリ感がちゃんと残っていて、薄めの肉とソースのたっぷり染みこんだ衣がいい塩梅で口の中で混ざり合い、とっても美味しいんです。
卵とじのカツ丼とは、もはや別の食べ物と考えたほうがいいですね。
ここヨーロッパ軒は、メニューの種類もまた多いんです。
カツ丼だけでなく、カツ定食やメンチ、エビフライとのセット、ランチの定食、やや量を少なめにしたレディスセットなど、大人が大好きな「町の洋食屋さん」といった感じで、いつ、誰と行っても、皆が満足して帰れるような、素晴らしいお店です。
最後に
前回の「トルコライス」、今回の「ソースかつ丼」と、地方のグルメをご紹介しましたが、まだまだ日本各地には美味しいものがたくさんあります。
また機会がありましたら、出張グルメをご紹介していきたいと思います。
お楽しみに!