はじめに
先日、劇場で「パシフィック・リム:アップライジング」を観てきました!
2013年公開の「パシフィック・リム」も観たのですが、こちらはギレルモ・デル・トロ監督の「怪獣愛」が詰まっており、ゴジラやガメラで育った怪獣世代としては非常に嬉しかったのですが、全体的な印象としては「丁寧に作られたB級映画」という感じでした。
さて、今回の第2作はどうだったのでしょうか。
※ネタバレありますので、内容を知りたくない方はご注意ください。
ストーリー
西暦2035年の地球。太平洋の海底の裂け目から異世界より襲来した異種族「プリカーサー」の操る怪獣と人類が産み出した人型巨大兵器「イェーガー」との激戦が終結して10年が経過した。世界は平穏を取り戻したが、怪獣の再来への不安からPPDC(環太平洋防衛軍)は新型イェーガーを開発し、若いパイロットたちを訓練していた。
10年前の怪獣との決戦で戦死したスタッカー・ペントコスト司令官の息子であり、かつては優秀なイェーガーのパイロットだったジェイク・ペントコスト(ジョン・ボイエガ)、10年前の怪獣襲来のために孤児となり、今は戦地から集めたパーツで一人乗りイェーガーを作成して怪獣への復讐の念を募る少女、アマーラ・ナマーニ(ケイリー・スピーニー)は、ある事件の結果として身柄を軍に拘束されてしまうが、PPDC事務総長・森マコ(菊地凛子)の計らいにより、ジェイクはパイロット訓練生の教官として、アマーラは訓練生として新しい生活をスタートさせる。
時を同じくして中国企業、シャオ産業は新型の無人巨大兵器、ドローン・イェーガーの開発を急ピッチで進めていた。
PPDCはシャオ産業のドローンを採用するかどうかの会議をオーストラリア・シドニーで開催しようとするが、その会議場を所属不明の漆黒のイェーガー「オブシディアン・フューリー」が襲撃する。
「オブシディアン・フューリー」の目的は何か?
また、その正体は?
新たな怪獣の襲撃はあるのか?
やっぱり、B級感がいっぱい?
2時間そこそこ楽しめたのですが、観終わった後の印象としては、「ハデにお金をかけたB級映画」という感じでしょうか。
1作目から引き続いてB級感が拭えなかったです。
では、どのような所でそれを感じてしまったのか、と言いますと・・・。
イェーガーが無駄にゴツイ
イェーガーの「昭和のロボット」的なゴツさはどうにかならなかったのでしょうか。
体内に人が乗り込んで操縦する都合上、ある程度の容量が必要であることや、怪獣からの攻撃に耐えうる防御性を考えると、ある程度の頑丈な装甲が必要になることは理解できますが、近未来のロボットとしてあれはないなー、と思いました。
例えば、赤色のイェーガー「セイバー・アテナ」や、正体不明のイェーガーとしてシドニーの会議場を急襲した「オブシディアン・フューリー」などはスラっとしたシャープな筐体をしており、非常にカッコいいですね。
エヴァンゲリオンとまでは言いませんが、もう少しスマートで俊敏な筐体での、スピード感のある怪獣とのバトルを見たかったです。
怪獣の質感が「異種族性」を感じさせない
怪獣の造形、質感が従来の怪獣像=「GODZILLA」を引きずっていると言うか、「GODZILLA」の枠から脱却しきれていない、という印象を受けました。
「GODZILLA」をベースに、顎を大きくして、トゲや角を生やして、尻尾を2本にして、目をたくさん着けて・・・、といった過程が想像できてしまって、ちょっとワクワク感がなかったですね。
異種族の生物なんだから、発想、表現の自由さがもっと怪獣にもあるべきなのではないかと思います。
例えば、「ガメラ」シリーズのギャオスやレギオンのような「ツルン」とした質感であっても全然問題なくて、逆にそのほうが鋭利な刃物を連想させる恐怖感のようなものが演出できたかも知れません。
前作のギレルモ・デル・トロ監督は日本の怪獣文化に造詣が深いことで知られていますが、日本の怪獣にあまり縛られることのない、もう一歩進んだ「ハリウッド」が生み出した怪獣像を見たかったです。
イェーガーと怪獣のバトル・シーンが少ない
単純な映像の量として、イェーガーと怪獣のバトル・シーンが少なかったような気がします。
パイロットの生い立ちの説明やイェーガーの政治的利用の描写などにページを割かれてしまって、肝心のバトル・シーンがこじんまりとしてしまった感じですね。
やはり、この映画の見どころは新型イェーガーの新しい武器で怪獣をやっつけるところだと思いますので、そちらにもっと力を注いで欲しかったです。
ちなみに、「新しい武器」もB級感に溢れていましたね。高層ビルなどの重量物を電子のムチみたいなもので捕縛して相手にぶつける(「グラビティ・スリング」というらしいです)ってのは、ビジュアル的には面白い戦闘シーンになるのですが、あまり威力のある武器とは思えないですね・・・。
怪獣の最終形が強すぎ
最終的には怪獣同士が合体して一体の巨大の怪獣になるのですが、これが強すぎて、バトルがまったく成立しませんでした。
「人類はどうやってこの窮地を乗り切るんだろう」というハラハラ・ドキドキ感はありますが、勝負の結果が一発逆転の神頼みにならざるを得なくなってしまいます。
正に今回の映画でも、最後は奇跡のような一発であっさりと勝負がついてしまいました。
互角の実力の中で、紙一重の差で勝利を掴み取るというストーリーのほうが面白いと思うのですが・・・。
シリーズの続編はその傾向が強く、先に公開された「インデペンデンスデイ:リサージェンス」もそのノリでしたね・・・。
中国市場を意識し過ぎ
最終決戦の一番美味しいところを中国シャオ産業の女性社長が持っていってしまうあたり、ちょっと露骨でしたねー。
全体を通しても、ハリウッド映画と言うよりは、中国映画と言っても差し支えのないくらいでした。
良かったところ
とは言え、もちろん良かったところもありました。
主人公二人の熱演は良かった!
主人公のジェイク(ジョン・ボイエガ)とアマーラ(ケイリー・スピーニー)の熱い演技は光ってました。
ジェイクがマコの死をきっかけに真のパイロットに覚醒していくプロセスや、前回怪獣襲撃時の孤児アマーラが怪獣に対する憎しみを抱きながらもパイロットとして成長していくプロセスを核としたストーリー展開はなかなか見ごたえがあって良かったと思います。
ドローン・イェーガーの配備という点も、イェーガーの進化形という意味では無理のない展開であり、またそれが原因で人類の危機を招いてしまうというストーリーも面白かったです。
イェーガー同士のバトルは迫力満点!
アラスカの氷の上で、正体不明のイェーガー「オブシディアン・フューリー」とジェイク、ネイサン(スコット・イーストウッド)が操縦するイェーガー「ジプシー・アベンジャー」がぶつかり合うバトル・シーンは、最高の迫力でシビレました。
間違いなく今作品の中ではNO.1のバトル・シーンだと思います。
イェーガーと怪獣のバトルという点では、先にも書きましたように、ちょっと物足りなかったですね。もう少し熱い戦闘シーンがあれば良かったのですが。
最後に
なんだかんだ言いましたが、怪獣世代、ロボット世代にはハマる映画であることは間違いありません。難しいこと考えないで楽しめる娯楽作品だと思います。
ラストでジェイクが「次はこっちから行ってやる!」と言っているので、続編がありそうですね。
次作を楽しみに待ちたいと思います。
ちなみに、真剣祐目当ての方にはあまり見る価値はない映画かと思います。ほぼ「村人A」的な扱いで、セリフも一言だけでしたから・・・。